2024/01/25 11:23


こんにちは。
Momoishi Leather Works CBRO.m の小向です。

今回の記事では、✴︎ BIEN VENIDO SERIES ✴︎ (ビエンベニードシリーズって読みます。お絵描きシリーズのことです。名前つけてみたよ)のハーフウォレットの製作過程をまとめてみようと思います。

内装にだけ絵を描いて欲しいとのオーダーをいただきました

これまで ✴︎BIEN VENIDO SERIES✴︎ といえば、財布にしろ手帳カバーにしろ表面に絵を描くというものばかりでした。でもそれは、お客様からそのようにオーダーされたわけではなく、ボクの作業のしやすさを重視してのことでした。
ですが今回のオーダーは、外装は無地にして内装に絵を描いて欲しいという、お客様からのたってのご希望がありました。

内装に絵を描くという作業自体は決して難しいことではないんですが、ハーフウォレットとなると段差や立体的なパーツがとても多く、イメージ通りの感じを表現できるのか不安が結構ありました。
でも、色々とお話を聞かせていただくうちに、なんとか頑張って仕上げたいという想いが込み上げてきました。

タトゥーのようなイラスト

そもそも今回のお客様との出会いは、とあるショッピングセンターで開かれていたハンドメイドイベントでした。
イベントの存在を知らずにショッピングセンターに遊びに来ていたお客様ご家族が、フラッとイベントに立ち寄った際にボクのお店を見つけてくれたことが始まりです。

もともと革がお好きだったそうですが、ボクが描く絵にもとても興味を持っていただいて、「タトゥーみたいですね!」と言っていただけたのはとても嬉しいことでした。「タトゥーは好きだけど自分の体に入れるのはちょっと。。」と仰っていたことも印象に残っています。

実はボクがこのシリーズを始めたのも同じような理由からで、学生時代にタトゥーに憧れて入れようとしていた時期があったり、外国滞在時に日本で彫るより安いからという理由で入れようとしていたり。(知り合いに説得されて結局やめました)そこまでタトゥーに知識があるわけではないけど、絵の雰囲気とかがとても好きでかっこいいなあと思っていました。
そんな雰囲気を革で表現できないかなあと何気なくその辺に転がっていたボールペンで描いてみたのが始まりです。
なので、タトゥーみたいと言ってもらえるのはこの上ない喜びなんです。

ファミリーへの愛と自分自身の内面

実際にどんな絵のオーダーがあったかというと、

・息子の名前を表現してほしい
・愉快なスカル
・蝶々
・平成のギャルをスカルで

という内容でした。

実はお客様は関東のご出身で、長期出張のような形で八戸に滞在されていて、その滞在中に生まれた息子さんは《八戸の海をイメージ》したお名前を命名されたらしく、その感じを描いて欲しいとのことでした。この時点ではボクの中で全くイメージが湧いておらずまあまあのプレッシャーでしたが、それ以上にイメージできなかったのが平成のギャルでした笑笑

息子さんや奥さん、そして自分の好きなことを詰め込んだまさにタトゥーを体に彫るような感覚で、オーダーしてくださいました。

八戸の海

八戸の海といったらどんなことを皆さんは思い浮かべるのでしょうか。
イカ?朝市?
ボクが真っ先に思い浮かんだのは夢の大橋でした。(え?海関係ある?)
夢の大橋の上から見える景色が好きなんですが、離れたところからみる夢の大橋の形も好きで、なんとなくそれを描いてみようかなとも思いつつ、イメージを膨らませていたら、種差海岸がふっと思い出されてそこから蕪島に辿り着きました。



蕪島の雰囲気にアメトラの雰囲気がマッチするのか、ミスマッチなのか描いてみるまでわかりません。
描いてみると意外にもいい雰囲気が出せたように思います。


平成のギャルをスカルに

平成のギャルと言われるてイメージするのは黒ギャルでしたが、全然違うようでした。
お客様からのイメージ画像として、NANAのイラスト画像が送られてきました。ほうほう、こういうイメージで描けばいいのか。黒ギャルにしなくてよかった。。



言葉というのは、人それぞれ捉え方が違ったり価値観が全然違うということを改めて思い知らされましたね笑
ギャルを何度か描いてそれを確認してもらっていたら、「ギャルの隣にマッチョスカルを描いてもらいたい」という要望が笑
そう、実はお客様はマッチョなんです。実際にお客様のマッチョ画像を参考に描いてみました。なかなか面白い組み合わせですね。

ギャルとマッチョの絵は、コインポケットのフタの部分に描いたので、もともとの依頼だった愉快なスカル(ギターを持ったマリアッチのカラベラ)はコインポケットのフタを開けた時に見えるような位置に描きました。

あとは隙間を色々なモチーフで埋めていく作業ですが、今回はなぜかバラや花を多めに描きたい気分で、というかそれが合うような気がしたので、ギャルとマッチョを薔薇や花で埋め尽くし、マチの部分も花で埋めました。すごくいい感じだと思います。


赤が多くてもバランスが悪いので、コインポケットのバックには星をあしらって色のバランスを整えました。
ほとんど隠れていますが、それくらいでちょうどいいんだと思います。






描いていく中で、自分の中でも色々と発見があって作品の幅がほんのちょびっとだけ広がった感じです。
完成後、お客様からとても嬉しいメッセージをいただいたのでご紹介します。


✴︎ BIEN VENIDO SERIES ✴︎ はこれまでもお客様の色々な思いを聞かせていただきながら、その思いをできるだけ載せられるように製作してきましたが、今回もお客様の大切な思いや感情をボクなりに詰め込めたと思います。
このシリーズは作業を通じて人の心に触れることができる、とてもやりがいのある仕事です。
オーダーしていただき本当にありがとうございました。


最後に外装の革について


今回こちらの商品をご覧になった方の中には、「外装の革が汚くね?」とか思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実際、革の状態としてはキレイな方ではありません。これは決して作業中に私が汚したわけではなく、別の理由があります。

革は、食肉用などの動物から生まれる副産物からできています。言うまでもなく、その動物は生きていました。生きていれば色々な傷や汚れがついて当たり前です。虫刺されなどの痕も残ったりします。
それは生きていた証なんですね。

ボク個人的に、傷や汚れがあったほうが雰囲気があって好き、と言うこともあります。それだけで一点ものみたいな感じになりますしね。
それから、人間様の都合で食肉にされたり、革にされたりしている動物の命に対してAとかBとかって言うのもあまり好ましく感じていません。(もちろん綺麗な方が製作しやすいけど)

そして何よりもA級品よりも価格が下がるので、仕入れを安くできる分提供価格も抑えることができます。
粗悪品は論外ですが、ちょっとした傷があったりと言うだけで品質には問題ない革を中心に仕入れるようにしています。

今回外装に使用した革は特に豊かな表情をしているので、見る方によっては汚いと感じられるかもしれませんが、これはボクなりの拘りですのでご理解いただけると嬉しいです。

オーダーやお問い合わせはinstagramのDMからお気軽にどうぞ!

それではまたお会いしましょう!